【手放しで喜べない】有給取得義務化ひとり情シスにとっては微妙な訳

スケジュール管理

有給休暇取得の義務化 情シスは手放しでは喜べない理由

有給取得義務化の背景は予想通りの内容

2019年4月1日より、5日間の有給休暇の取得が義務付けられました。義務となるのは企業側で、労働者に有給を取得させる義務が生じるとの事です。労働者自らがすでに5日の有給を取得していれば問題ありません。

有給取得を義務化した背景にはどんな事が関係しているのでしょうか?

  • 社員が休みたがらない
  • 休めない事情がある
  • 会社に休ませない体質がある

あぁなるほどね、と納得される方もおられるかと。確かに思い当たる節があります。

ひとり情シスは休めない・休ませられない

ひとり情シスとしては”簡単には休めない”という心理が働く事でしょう。何しろ自分一人で多くのものを負っている訳ですから、もし休み中にトラブルがあったらどうしよう、と考えてしまうのが普通です。会社側としてはどうでしょうか?一人しかいない情シスへの依存度次第だとは思いますが、”情シスの休み中に何かあったら…”と考える可能性はあります。

夢は長期休暇

有給休暇の本来の目的は心身ともにリフレッシュして再び仕事に精を出す、というのが望ましいのだと思います。確かに、大型連休以外にもまとめて休暇が取れるとしたらありがたいですね。しかし取得の義務が5日間あっても細切れで取得していてはリフレッシュにはつながらないかもしれません。

そもそも、ひとり情シスは普段から休日出勤が必要だったりする

大型連休の時に旅行にでも行けばいいのでは?と思われるかもしれませんが、情シスによっては休日出勤せねばならないという人もいるかもしれません。その理由としては…

  • サーバーのメンテナンス
  • データベースのメンテナンス
  • ハードウェアメンテナンス

などなど…。普段業務で止める事の出来ないサーバーを止められる唯一のチャンスが大型連休中だったりします。だれひとりPCを使わない時を見計らって作業をしますのでおのずと休日出勤になります。

連休中、自分以外にも休みたがらない人がいると大変です。休まない体質はこんな時にも足かせになります。大型連休なんだからちゃんと休めばいいものを、わざわざ休み中に仕事をしたがる社員はいるものです。”PCを止めてもらっては困る”、”サーバーを止めてもらっては困る”と言われれば意向を汲まざるを得ません。結局メンテ作業は休みに入ってしばらくたった中ほどに実行せざるを得なくなります。結果連続した日付での休暇などが取りずらい状態となってしまいます。

長期休暇を取るための対策 普段からリスクを分散させておく

ひとり情シスが何もかもを一人で背負い込むのは健全ではありません。アウトソーシング出来る部分はどんどんやっていくべきだと思います。少なくとも安心して長期休暇を取れるような仕組みは今から作り上げていくべきでしょう。

機器類のクラウド化

ハード(機器類)のメンテナンスは欠かせません。もしサーバーがまだオンプレミスでの運用でしたら、ハードのメンテナンス性の向上はクラウド化を検討する一つの根拠となりえます。物理的な故障が減らせますし遠隔で操作できるのも魅力です。もっとも導入当初はむしろ手がかかるかもしれませんが、軌道に乗ってしまえば楽かもしれません。すべてをクラウド化するのは現状賢明ではないとしても一極集中型からリスク分散型へとスイッチしていく意義は大きいかと思います。

何もかも情シスにやってもらう、教えてもらうという体質からの脱却

各自、自分で出来る部分は自分で行ってもらうように普段から教育をしておく事は大切です。

 

 

情シスへの依存度を適度に下げておくことがカギです。もっとも、下げるべき分野を誤れば”情シス不要論”化しかねません。あくまで、本来各自で行ってもらいたい部分に関してのみ各自で出来るような教育をしていく事、これが大切です。

メンテナンスのスケジューリングを後回しにしない

機器類のメンテナンススケジュールを立てます。しかし忙しいとついつい場当たり的な仕事になりがちです。こんなことはありませんか?

 

  • チェックリストを作ったものの、実行されたのは最初の3回くらい
  • 最後に行ったのは半年前
  • そもそもチェックリストを作ってそれで満足してしまった

 

中長期的な視野でのメンテナンススケジュールとそれに沿ったメンテナンスの実行は重要度・優先順位の高い仕事です。機械のメンテはどうしてもおろそかになりがちです。普段からきっちりと計画を立てこなしていく事でトラブルを未然に防ぎたいものです。”忙しい”を言い訳に重要なことを後回しにしているといずれそのツケが回ってきます。

 

 

バスタブ曲線を思い出してみてください。機器類はある年数を経過したところから故障率がぐんと上がります。例えばスイッチングハブなど通電しっぱなしな物は常に熱にさらされます。コンデンサー類は使っていようがいまいが経年劣化していくものです。故障するまで使い続けるのではなく、5~7年サイクルで交換してしまう事でリスクを低減させることができます。

 

壊れる前に交換する。必要経費と割り切る思い切りが必要

 

まとめ 有給取得だけの問題ではない

有給取得義務化を受け、ひとり情シスの現状について考察してみました。情シスが”ひとりだけ”という事にはやはりリスクが伴います。リスクの分散化は有給取得以前の潜在的な課題と言えるかもしれません。これを機に経営側に”ひとり情シス問題”を今一度考えなおして頂くのも良いのではないかと思います。

コメント